システム室長は電気羊の夢を見るか?(その2)
内輪で好評第2弾、昨日に引き続いてシステム室長氏のパソコンの話を掲載します。時代は、私がプレサリオを買った少し後、Windows95が発売される少し前。コストパフォーマンス重視の私はいち早くDOS/V機の世界に行きましたが、システム室長氏は別の選択をしました。
もうひとつのPC昔話 第1話 NEC PC-9821 Cx2 (1995)〜雑魚とは違うんだよ、雑魚とは!〜
さて、私がはじめて買った「自前」のPCは、PC-9821Cx2/S15T 、CanBeと呼ばれたデスクトップです。
会社から98NOTEを支給されて4年を経過しても、自宅に自前のPCが必要だ、という感情は湧きませんでしたが、この頃すでにekke氏はPresario 433を、もうひとり学生時代からの友人bash氏(極まれに、ekke氏のブログにコメントを入れている)はFM-TOWNSⅡUR (だったと思うが・・・モニター一体型の486SX機)を所持していましたので、購入に踏み切ることにしました。当時普及しつつあったパソコン通信サービスを利用するという目的もありました
後発で購入する以上、スペック的に両人の後塵を拝するわけには行きません。PC機(当時の「PC機」とは、NECのPC-9800シリーズを指す)か「DOS/V機」か迷うところでしたが、会社にある周辺機器との互換性と当時のシェアからNECを選択しました。
半年後に新OS Windows95の市場投入が予定されていたこともあって、当時投入されたばかりのPentiumCPUを搭載しCDーROMも4倍速、モデムは14400bpsなどワンランク上の装備に加え、PCM録音・再生機能、FM音源機能(86音源互換)を積み専用TVチューナも搭載するなど、まさにCan Be(「何でも出来る」)のネーミング通りの高級機でした。
当時「マルチメディア」という言葉が持てはやされ、「マルチメディア」+「Windows95」=「何でもできる」位に考えていた短絡的思考の私は、すぐに「何でもできる・多機能」=「何をするにも中途半端」と気づかされることになります。アプリケーションを使うこと以外パソコン初心者であった私は、自前のマシンを持ったばかりに芽生え始めたPCへの期待や方向性と、現実に所有するマシンスペックとのギャップに苦しみ始めます。
- CPU Pentiumプロセッサ(75MHz)
- PCIチップセット VLSI Supercore594(Wildcat) [PCI Rev:2.0]
- ハードディスク 850MB
- セカンドキャッシュ オプション(最大512KB)
- メモリ 標準8MB、最大128MB
- ウィンドウアクセラレータ CIRRUS LOGIC社製 GD5430 (VRAM:1MB) 本体に内蔵640×480 1,677万色、800×600 65,536色、1,024×768 256色
- フロッピィディスク 3.5インチ x 1(3モード対応)
- CD-ROM 内蔵(4倍速 Sony ATAP,E-IDE))
- サウンド PCM録音・再生機能、FM音源機能(86音源互換)
- 汎用拡張スロット 3スロット
- FAXモデム専用スロット 1スロット(S15T、S17T型番は実装済み)
- 発売 1995年6月
- インターフェース(ポート): アナログRGB(ミニDIN10ピン)、RS-232C、プリンター、マウス、キーボードポート、赤外線通信機能搭載(IrDA 115,200bps)
Windows3.1プレインストールですが、95へのアップグレードクーポン付きで、発売後CD-ROMとNECのドライバディスクが送られてきました。アップデートして、95Plusも入れると、やはり何かしら動きが緩慢になります。しばらく経って、ekke氏がOverDriveプロセッサでマシンスペックをアップデートした事を聞き、さっそく自分も「インテルMMXテクノロジペンティアムOverDriveプロセッサ166MHz版(JBPOD PMT66X166、29,800円)」を入手し換装しました。166MHz版というのはFSBが66MHzの場合で2.5倍のクロック倍率ですから、FSBが50MHzのCx2に装着すると125MHzになりました。結果的に、この超初歩的な改造経験からPCの違った面白さを知ることになりました。その後、当時PC98の専門誌だった「OH!PC」やNifty Serveの98フォーラム、Cx2改造のクニチャン氏の改造記録などを参考にいろいろと試してみました。メモリー増設・HDD換装、拡張ボード増設、CPUは更に「IDT Winchip2 Version A 200MHz 3.3V」→メルコCPUアクセラレータ「HK6-MD466-N3」(AMD K6-2/475MHz・66MHz×7倍)と換装されていきます。改造を重ねるにつれて非力な電源と狭小な筐体による排熱問題、また「config.sys」、「autoexec.bat」が何なのかもよく知らず、ハードのことソフトのことを一から勉強し苦労もしましたが、そのために愛着が強い一台となりました。
今思うと信じられないくらいの投資がなされたCx2は、「CanBeの皮を被ったキングボンビー」の名を欲しいままにし、現在も現役として我が家に鎮座しています。
最終?スペックは以下の通り
さすが本職、スペック表が細かいなあ。
若い人は3モード対応フロッピーって分かりますか?フロッピーディスクって、このころは記録容量の違いで2DDと2HDという2つの規格があったから、それで2モード(今のDVDの1層と2層みたいな感じ)。ところが同じ2HD規格でもPC-98は容量が1.2MB、DOS/Vは1.44MBとフォーマットが微妙に違ったんですね。Windows3.1以降はソフトもファイルも共通だったんですが、記録媒体の規格が違ったので、PC-98で作ったファイルをDOS/V機で読む(逆も)ためには3モードのFDDが必要だったのです。私のプレサリオも3モードFDDが付いていました。
ちなみにキングボンビー化した今のCanBe、OSは何が入ってるの?と訊いたところ、やっぱりWindows95なのだそうです(システムのどこやらがOSのアップグレードに対応しないのだそうで)。この後は赤く塗っててっぺんに無線LANのアンテナとか付けると良いと思います。
私の静岡勤務時の同僚もCanBe買ってたなー。
立ち上げると98ランチが出てくるんですよね。"きゅうはちらんち"といっても、「球四郎のくされ外道に勝つためには、こんぐらい食わにゃいかんのじゃ〜っ!!」って1升飯を食べるとかではなくて(<誰も間違わねえよ)、みなしごハッチみたいなキャラクターが出てきてアプリケーションが呼び出せるという、初心者向けお節介ソフトでした。
CanBeは、初心者をターゲットにした一体型という点ではプレサリオ・フォロワーといえる商品企画ですが、さすがNECが日本人向けに作ったパソコンですからお金もかけてますし、ずいぶん上等でした。どういうところが違うかというと、もちろん後発なんで全てにおいて勝っているんですが、端的なのはモニター画面でしたね。プレサリオは本当に金魚鉢みたいな安っぽいブラウン管で、画面が湾曲してるんです。CanBeはもうほとんどフラット画面と言って良い形状で、見やすかっただろうなー、と。そういうところ。