システム室長は電気羊の夢を見るか?(その4)

名古屋から帰って来るとき、新幹線のお供に名古屋駅前のジュンク堂書店で、ちょっと前に関連ブログで話題になっていた「Palmクロニクル」を買って、読みながら帰って来ました。

Palm クロニクル

Palm クロニクル

執筆陣も信用のおける達人の皆様であり、大変面白かったです(まだ、全部読めてませんが)。
ちなみに私も2年前に自家版「Palmクロニクル」を書いていますので、お好きな方はこちらからどうぞ。


てなわけで本題です。
システム室長から4つ目の原稿をもらいましたので、懐かしのPCクロニクルもお楽しみください。

もうひとつのPC昔話第3話 TOSHIBA Libretto50CT (PA1237C9) (1997)〜ララァ・・・わたしを導いてくれ〜


回取り上げた PC9821LS150S14 Aileを購入して僅か3ヶ月後、私は東芝のLibretto50というミニノートを買いました。
この時点ではまだAileは「どノーマル」で使用していました。「何てもったいない」と思うヒトも多いと思います。なにせ自分でもそう思ったくらいですから。
でも、自分が自分に説得されちゃったトドメのセリフが、
「だって、このサイズでWindows95が動かせちゃうんだよ〜。」
・・・・・・・・・・うん、購入決定!


こうして私は、初めてのDos/V機を手にすることになりました。購入資金をどう工面したのか全く覚えていませんが・・・。
(かわいかっただけが購入動機ではないのですが、その話はいずれ。)
後にこのマシンは、半田ごてだのダイオードだのといったモノを使って改造したPCの初号機となります。


Libretto50CT (PA1237C9) 1997.1.7発売

  1. CPU  Pentium(75MHz : 外部50MHz x 内部1.5倍)  
  2. メモリ  メインメモリ(標準) 16MB(EDO) (標準メモリ+増設メモリで最大32MBまで内蔵可能)
  3. ROM  256KB、フラッシュROM、Plug and Play 1.0a、APM1.2
  4. キャッシュメモリ  16KB(メインプロセッサに内蔵)
  5. ディスプレイ  6.1型TFTカラー液晶 最大640×480ドット 1,677万色
  6. アクセラレータチップ  CT65550 Cirus Logic7548
  7. HDD  810MB
  8. サウンド機能  SoundBlasterPro互換(再生のみ)
  9. 拡張コネクタ  I/Oアダプタ、またはポートリプリケータ(PA2720UJ)を接続
  10. バッテリ駆動時間  約1.5〜2時間 (大容量バッテリ使用時:約3〜4時間)
  11. 質量  約850g (標準バッテリ含む)
  12. OS  MicrosoftWindows95(OSR2)
  13. ユーティリティ 東芝ユーティリティ
  14. TranXit Ver.2、IE3.0
  15. 付属品 本体、バッテリパック(本体装着済)
  16. ACアダプタ(100-240V)、I/Oアダプタ
  17. マニュアル、リブポイントキャップ

本体標準価格(税別) 248,000円


体とI/Oアダプタ以外何も付いていないので、購入時にCD-ROMとFDD・増設メモリ・ポートリプリケータを同時購入しました。
純正のFDDがお店に無かった為、値引きして価格を合わせるという条件でPCカード接続のSuperDrive(メーカー失念)で手を打ちました。(この頃は、まだUSBが付いていませんでした。)
増設メモリについても、メーカー公称16MB増設まででしたが、32MBのメモリーモジュール(特定の。個体差もあったようだが)が認識されたとの情報を掴んでいたので、店員さんに聞いてみるとあっさりと、「ああ、このモジュールで認識しましたよ。保証外になりますけどね、メーカーの。」との前置き付き(さすがにツ○モ電機)で、無地の紙箱に入った32MBのモジュールを見せてくれました。怖いもの知らずで、あっさり購入決定。このメモリは無事認識され、16+32の48MBで動作しました。(実際には48MBフル認識はしなかったと記憶しているが)


右手親指でマウスカーソルを操る「リブポイント」には馴染めませんでしたが、とにかく900gそこそこでWindows95が使えちゃうんだから大満足です。
実際、仕事では更に3ヶ月後の10月に営業職を離れる運命にあったのですが、デスクワークとプレゼンにはAile、モバイルで常用データ管理はLibrettoと使い分けることにしました。
2台をシリアルリンクケーブルで接続して(Aileをhost・Librettoをguest)データを同期させていました。(後日の事、guestからリモート接続していたhost画面を自機の画面と誤認して、host側データを消去するというミスを犯し、心身共に打ちのめされた事があります。)


時、東芝Librettoシリーズは人気が高く、雑誌(MobilePCとか)にせよネットにせよ多くの挑戦者たちによる改造例の記事が掲載されていました。


ノーマルスペックで最初にネックになったのは、810MBというHDDの容量でした。ノート用HDDとしてスタンダードな12.7mm厚2.5inch製品は多かったのですが、Librettoが採用していた8.4mm厚2.5inchHDDは、バルク流通していなかった(少なくとも名古屋では)と思います。当時は薄型HDDが入手困難だったため、スタンダードな12.7mm厚HDDをそのサイズの分だけ裏蓋を切り取って無理やり搭載する、「裏切り」処置が行われていました。換装作業自体はHDDがスロット式取り付けだったので割と容易だと判断し、IBM製9.5mm厚1.6GB (DDLA-21620)を探してバルクで購入し換装しました。ただしデフォルトの8.4mm厚と9.5mm厚のギャップのため、そのままでは換装できません。そこで筐体を分解して裏蓋を外し、内側に付いている絶縁シートとスペーサーを剥がしてスペースを確保する必要がありました。筐体を開けた時点で、メーカー保証には頼れない・引き返せないところまで来てしまいました。


換装自体は簡単ですが、その後にOSの再インストールが待っています。なんと!Librett50にはリカバリーディスクがついていません。別売りなんです。。。自分でバックアップFDを作れるんですが、枚数が半端じゃない(60MB強)。それなら新しいOSをクリーンインストールすれば?というところなのですが、それでも東芝ユーティリティと拡張ドライバ類をインストールしなければなりません。まぁ、結局リカバリーディスクセットを取り寄せました。実際は純正のFDDを買わなかったことや、他にDos/V機を持っていなかったことなどが、これ以降事あるごとに環境再構築作業の大きな弊害となってくるのですが・・・。これでHDD容量は1.6GBになりました。HDDはOSのWindows98SE化の時に、IBM製9.5mm厚2.1GB (DKLA-22160)へ再度換装されます。

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局Libbrett50は、2000年まで現役でした。すでに世の中はミニノートもモバイルPentium II の時代になっており、MMXを搭載しないただのPentium機にはキツい環境でした。
HDD換装時に裏蓋をあけてしまっている私にとって、改造による延命措置はWindows98登場時からの当然の選択肢でした。
購入時から保証外のメモリ増設を行い、HDDの換装も終えていた段階(98年頃か?)で、残こされたポイントはCPUです。Libretto50は通常 50MHz x 1.5倍 = 75MHz で動いています。


Libretto50のクロックアップ法には2通りありました。

  1. ベースクロックを50MHzから66MHzにアップする方法
    • これで66MHz x 1.5倍速 の100MHzで動作します。この方法は、PLL ICの「15番ピン」の足を跳ね上げるだけという簡単な作業でできます。足あげの時に、基盤から安全に剥がすにはIC作業用10W位の半田ごてを使ったほうが無難な為、わざわざ半田ごてを買った覚えがあります。Pentium100MHzと聞くと後継機種のLibretto60と同等と思われますが、あちらは内部クロック倍率を1.5倍→2.0倍にしたものです。(50MHz x 2.0 =100MHz)
  2. 内部クロック倍率を変更する方法 (内部クロック3.0倍化)
    • これを実施するには基盤上のランドをショートさせる必要があり、小信号ショットキーバリアダイオードが必要です。ノートPC改造ショップの「マクサス」さんでも同様の作業してもらえます。細かな作業にはなりますが工程はひとつで、前後の分解・組立てに注意が必要でした。M/B基盤を剥き出し?にできたらCPU脇にある空きランドの「BF1」と電源マイコンICの「57番ピン」を「ダイオード」で接続します。ダイオードが他の部品とショートしないように絶縁に配慮が必要です。この作業により起動時、HDDのアクセスランプが点く前に電源ボタンを離すと通常の75MHz駆動、電源ボタンをHDDのアクセスランプが点いてから離すと50MHz×3.0倍で150MHz駆動させることができました。


ははじめにパターン1、後にパターン1の作業を復旧してパターン2を作業しました。パターン2のクロックアップは切り替えができるため、バッテリー残量と相談しながら動作速度が変更できて便利なのですが、私の作業が雑だったのか3.0倍の起動が不安定でした。結局その後に3.0倍固定の再改造を施して使用することになります。


こうした改造は、雑誌やネットに散りばめられていた?多くの挑戦者の皆さんの「地と汗と涙」のレポート記事が無ければ、決して自分ひとりでできることではありませんでした。


これら一連の改造作業により、それなりに納得できる作業環境が整備できましたが、その反面として消費電流増加、発熱量増加というマイナス面も発生しました。
高クロック化により、標準バッテリーは1時間程しかもたなくなり大容量バッテリーを購入することになります。排熱対策として、PCカードスロット装着型の排熱ファンを常用しましたが、夏場になると熱ダレが顕著になり、苦肉の策として保冷材を筐体の下に敷いて作業した、なんて事もありました。(Libretto50はPentiumプロセッサを搭載する為に、搭載基板全体を放熱板として使う新しい放熱方式を採用していました。本体の天板と底板には0.7mm厚のマグネシウム射出成型)


Libretto50は世紀末の年まで現役を維持していましたが、新たに購入したVAIO PCG-C1EXにその座を譲り一線を退きました。


その後、このマシンはVAIO PCG-C1EX購入の切っ掛けとなった、足掛け半年間に及ぶ私の入院生活の折に仲良くなった看護婦さん(今は看護士か)に貰われていきました。

出ました、東芝リブレット!私がおとなしくメビウスを買ったままで使っている頃、この人はそういうことをしていたんですね。
彼が大須の○クモ電機にリブレットを買いに行くのに同行した覚えがあります。純正フロッピードライブがなくて、スーパードライブを買っていたのも覚えています。普通のFDと同じ大きさのメディアに120MBのデータが入れられるという、画期的な製品でしたねw
このスーパードライブはずっと後に、私も借りて使わせてもらった記憶があります。