僕は鯨が食べたいのか

ここ1年くらい、仕事絡みで仲良くなった人と連れだって食事をする機会が結構あって、新宿や浅草に行っては鰻、どじょう、さくら鍋(馬)など…。わざとちょっと変わった物を食べに行ってるきらいもあります。メンバーには韓国出身の人もいるので、そのうち犬も食べに行くかもしれません(新宿か大久保あたりで食べられるらしい)。

今朝、ベッドでだらだらしながらテレビ(たしか辛坊治郎が司会のやつ)を見ていたら、日本がIWCから脱退するかもしれないという話をしていました。鯨は種類によってはもう既に十分に頭数が回復しており、捕鯨反対を唱えている国は感情的、宗教的な理由で反対しているだけで科学的根拠がないからだそうです。
私も鯨を食べるのは嫌いじゃないし、何よりも反捕鯨団体の狂信的な行動には感情を逆撫でされる部分もあり、「自分たちで散々乱獲しておいて、今頃よそ様に口出しするんじゃない」と思っています。

さて、そんな中最近どこかの雑誌の書評で見かけたこの本を読んでみました。

日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか (幻冬舎新書)

日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか (幻冬舎新書)

著者はあのグリーンピース・ジャパン事務局長(今日のテレビにも反捕鯨の立場でVTR出演していた)で、とてもニュートラルな立場とは思えず、読んでいる内に腹が立ってくると思うのでやめようかと思いましたが、ここは孫子の兵法「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」を思い出して、我慢して読んでみました。

で、読んでみて細部において気になる記述はあるが、次の点については勉強になりました。

  1. 沿岸で捕獲できる鯨は(生物濃縮の結果もあり)水銀などの有害物質が蓄積されていて、安全な食べ物とはいえないこと
  2. 南氷洋での調査捕鯨のありようが「副産物」である鯨肉の生産目的と言われてもしかたのない(売れない種類の捕獲数が少ない)バランスで行われていること

鯨が増えていることと魚が減っていることの因果関係の科学的根拠については、どこまでいっても水掛け論になると思われ、この点について一般人たる私は判断が出来ません。ヒゲクジラ類は魚を食べないといっても、オキアミを食べるのは鯨だけではないと思うので、やはり影響はあるのではないかと思います。
ただ、この本の結論とも一致してしまいますが、日本人が鯨を食べ続けるには、近海の環境を確認しつつ計画的沿岸捕鯨によって入手できる鯨肉を食べるようにするのが一番良いだろうと思いました。

一方、この本を読んでも反捕鯨国に対して納得できないことがあり、著者の星川氏にはこの辺りについても見解を聞いてみたいと思いました。

  1. 80年頃の反捕鯨運動に宗教的または非白人種に対する差別的意識がなかったと言えるのか?
  2. 頭ごなしに捕鯨に反対している国というとアメリカ、オーストラリア(ニュージーランドも)が出てくるが、これらの国は「日本人は俺たちの牛肉を食べてれば良いんだ」という自国の牧畜業ロビイストのエゴを代表して反捕鯨を訴えているのではないのか?

日本の商業捕鯨再開運動が、水産庁捕鯨班の組織防衛のためだというが、牛肉の対日輸出拡大に血道を上げているこれらの国はどうなのか?今日のテレビでもこの点には触れなかったので(何か大人の事情?)釈然としません。