Palmマシン回顧録7 Visor Edge

Visor Edge

僕がPDAを買い換え続けた最大の理由は、携帯性に対する不満を解消してくれるものがWorkPadc3以降現れなかったことに起因しています。
徳大寺有恒の自動車の本とか読んでいると、たとえばトヨタのコロナのような車を評して、「これを買えば、10年間車のことは忘れていられる」という言い方が出てきます。趣味的なものを望まず実用本位であれば、乗って狭くなく、燃費もよく、耐久性もある、社会的にも波風が立たない、というような車種に対して一種の褒め言葉(もちろん、ご本人は買わないでしょうが)として使われるフレーズです。その車が壊れるまでは車のカタログを眺めて「どうしようかなあ」と悩むことが無い、ということです。
PDAの世界にはなかなかそういうことが無くて、「あちら立てばこちら立たず」というか、「帯に短したすきに長し」ということが多くて、結局新しいものを見つけては「あれなら、この不満を解消できるのではないか、と購入して「この不満」は解消するのですが、すると新しい不満が生まれて、いつまでたってもPDAのことが忘れられない。これはビジネス・ユースの道具としていかがなものか、ということになります。

新しい機能やCPU性能の向上による処理速度のアップは素晴らしく、早くて何でもできることは、使う側にとっても魅力です。また、音楽が聴ける、動画が見れる、通信ができる、それぞれに必要だったり、あれば便利な場面があります。
ただ、その中でもPDAにとって一番優先的に求めるものは、パソコンと連携でき、外出先ですばやく参照できる「予定表」・「住所録」・「TODOリスト」です。そして、それがスーツの内ポケットにはいること。むき出しで格好悪いのであれば、ケースを着せた状態でポケットに収まって欲しい。
前回書いた、T600は良いセンだったのですが、惜しいかなケースを着せると「皮1枚」厚い。ほんと、あと数ミリでよかったんですが。
そんなおりに、今はなき(というか、変わってしまう前の)イケショップで在庫処分的に販売されていたVisor Edgeを発見、初めてイケショップで「消耗品以外の買い物」をしました。
ごめんねイケショップ、いつも液晶保護シートとか、スタイラスペンばっかり買ってて。もっと高い買い物をしてあげてれば今のようなことには…。
さて、安かったこともあってテンションの低いままPIMデータを引き継ぎ、使ってみると、さすがに当時の最薄ボディ(CLIE T400を除く)、スーツの内ポケットにもすんなり収まるじゃありませんか(縦横は微妙に大きい。外人サイズ?)?
ただし、白黒160×160画面はCLIEのカラー&ハイレゾ画面を知ってしまった身にはやはり寂しく、またVisorの売りであるSpringboardスロットを付けるとスタイリッシュなデザインが台無し等、いまいち感情移入ができない機械ではありました。