MM9
週刊アスキーの樋口真嗣氏のコラムなどで紹介されていたものの、いつから始まるのか何チャンネルなのかもろくに調べずにいたら、東京MXテレビで既に放映が始まっているではありませんか!しまった、出遅れた!
iPad、iPhone向け試聴アプリも販売されるという話があったようですが、なにやら事情があってiPad専用アプリとして販売中。iPhoneには未対応。
ただしiPhoneユーザーでも、山本弘氏による原作本アプリは購入可能です。
→ AppStore 山本弘「MM9」
原作本は日本SF大賞候補にもなったということで、読むととても面白いものでした。
山本弘氏はBSマンガ夜話の「ブルーシティー」の回に出演していた「と学会」会長として、それと地球温暖化に異を唱える武田邦彦センセーへの反論本を読んだくらいで、SF作家として接するのはこの作品が初めてです。なんとなく頭の中の画像イメージは蛭子能収氏とかぶっています。
この人は、マンガ夜話を見ている限りでは、博覧強記のインテリというよりも、個人的な思い入れに素直な、SF的ディテールへの愛に溢れている人だったので、その作品である「MM9」にもSF(ていうか、本作品では主に「怪獣モノへの」)愛が溢れています。
すでに空想科学読本などで、「身長50メートル、体重数万トンの二足歩行怪獣と銀色の巨人の格闘は物理的に不可能」とされた後の作品ですので、21世紀に巨大生物を登場させるにあたって「多重人間理論」という量子力学風味の理屈を構築し、怪獣の分析と対策を気象庁の一部門である特異生物対策部=気特対が行う(実際の怪獣駆除は気特対のアドバイスを受けた自衛隊が行う)という設定になっています。
過去の怪獣モノへのオマージュとして、登場人物をはじめとする名称がどこかで聞いたような名前が多くなっています。
気特対が科特隊のパロディであるのはもちろん、主人公の灰田涼はおそらくハヤタの捩りでしょうし、物理学者・案野悠里は友里アンヌのひっくり返しおよびアンヌ+ひし美ゆり子でしょう。課長格の室町はムラマツ(キャップ)のアナグラムだと思われます。また、過去の怪獣災害として語られる事例も、かつてのゴジラシリーズやウルトラシリーズ、はては海外の怪獣モノを思わせる例も出てきます。
そんな世界に登場する山本弘オリジナルの怪獣はというと、ブルーシティーの海魔コノドント風、銀色の巨人ならぬ裸の巨大少女、神話世界の多頭龍等々、それぞれマニアックないでたちで、一気に5つの連作を読み終わってしまいます。
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一方、TV版はようやく気づいて予約録画できたのが、先週末放映された「第5話」。しかも、この「第5話」たるや主人公である「気特対」が事務所でテレビとネット情報を見つめるだけ、といういたって地味な展開で、こういう回はシリーズ続けて見てないと面白さがわからない(ウルトラマンでいうと「スカイドン」の回のような)エピソードなので、返す返すも第1話の見逃しが痛いです。
しかし、総監督が樋口真嗣、脚本が伊藤和典と平成ガメラに絡んだ二人が加わっているので、通してみれば必ず面白いはず。見逃した1〜4話は秋に発売されるDVDで補完するしかありませんね。
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