何故かクリエに入っていた本

クリエUX50は恙なく予定表その他として活躍しています。
705NKをベルトケースに装着しているので、クリエは裸のままネックストラップでつるしてワイシャツの胸ポケットに入れています。
電車の中でつり革につかまって本を読むという用途ではどちらも一長一短(705NKは画面は小さいが、片手で持ちやすい。UX50は画面は見やすいが、片手操作がしにくい。かえすがえすも縦表示が出来れば…)がありますが、電池が減っても平気なのはクリエなので、そっちを使っています。


さて、前回休眠させる前からブンコビューア用に入れていた本が、まだメモリースティックに残っていて、ちょうどいい加減に内容を忘れていたので電車の中で読み返しています。例えばこれ

奥田英朗の「空中ブランコ」。たぶんクリエを休眠させる前に流行っていたんでしょうね。
そういえば、阿部寛主演で映画かドラマになるというのを何かで読んだ気がするので、もう一度流行ると思います。ちょうど良かった!


デブで幼児性が強いが大病院の跡取り息子である精神科医・伊良部一郎(阿部寛じゃもったいないじゃん)が、神経症に悩む患者をもっぱら自らの楽しみのために引きずり回しているうちに患者が快方に向かっていくという短編シリーズです。ミステリーの「ドーバー警部」(私は読んでないけど)を彷彿とさせます。
登場する患者は「空中ブランコで落下を繰り返すようになったサーカス団員」、「イップスで一塁送球ができなくなったプロ野球選手」、「小説を書こうとすると以前書いた作品と同じ設定だったのではと不安になり、自著を読み返し続ける人気女流作家」など、神経症患者群像でもあります。

空中ブランコ

空中ブランコ

私も神経症についてはベテラン(通院歴はないが)ですので、その患者像はそれなりに身近なものとして読むことができました。


そこで、というか無理につなげるんですが、精神異常者におけるリアリティという話題です。もういろんな人がきっと書いているだろうと思われる「山口・母子殺害事件」の弁護団の話。


曰く、「犯人は精神年齢が12歳程度で、電気工事ごっこのつもりで被害者宅に入り込み、甘えたつもりがはずみで殺してしまった。死姦は精液によって死者を蘇らせようとしたためだった」というのは、ストーリーが木に竹を接いだようで噴飯ものです。
異常者には異常者なりのストーリーってものがあると思うんですが、これは一人の頭の中では繋がらないはずの2つのストーリーを無理にくっつけてしまっています。


きっと「21人の弁護団」がどっかの会議室に集まって作ったんでしょうね。
トリビアの種」で八嶋君に「どんなにひどい犯罪を犯しても死刑にならない犯罪心理は#$%^FV&^%*B*&gyである」というお題をもらい、何人かの専門家が出した材料を、付箋に書いて並べただけ、というできばえです。とりまとめた人が馬鹿だったんでしょうなあ。


だって、前半は3歳児程度の知能を持つ大きい赤ん坊のような人間像であるのに、後半になると宮崎勤酒鬼薔薇みたいな自己流宗教じゃないですか?自己流宗教を編み出すにはそれなりに高度で抽象的な思考能力が要るんですよ。
宮崎や酒鬼薔薇もそりゃ歪んだ幼児性気質はあったでしょうが、彼らは「ぼくわ電気工事屋さんだあ」という遊びはしないでしょう?
スカートめくりを覚えた男の子がままごとをやりますか(やるならお医者さんごっこでしょ)?発達段階を無視しちゃいけない。この事件で猥褻目的以外の動機を作るのは無理です。


犯人はただ粗暴で常識がなく、性衝動をコントロールする知性を持たないだけで、罪を問えない精神障害者ではありません(知能は高くないが、責任が問えないレベルではない。強いて外的要因を挙げれば、育ちが悪すぎるだけである)。
私は死刑廃止の是非とかについてコメントする言葉を持ちませんが、とりあえず弁護団の作ったこの話は陳腐すぎてだめ。