間違いだらけのクルマ選び

今年は出ないのかと思っていた「間違いだらけのクルマ選び」を、いつもの八重洲地下街の本屋で見つけてきました。

最終版 間違いだらけのクルマ選び

最終版 間違いだらけのクルマ選び

表紙にでかく「最終版」とのこと。
徳大寺さんもお年だし、以前大病もされているので、おそらく全車乗りつぶして評論するのが体力的に厳しくなってきたのかもしれませんね。
この人の評論を読んでいて思うのは、ひとつのことを一所懸命にずーっと考えてきた人っていうのは、あるレベルまで行くと哲学者になるってことです。
自動車のこととして書いてあることが、文明批評であったり、経済学であったり、営業マンの心得であったり、ファッションのセオリーだったり、深遠な人生の真実だったりするわけです。
静岡勤務だった頃、ある問屋の社長さんが、毎月の集金に行くと、いつも2時間くらい喋ってくれました。中学を出て戦争に行って、戻ってきてから家業を継いで50年、という人生の中で培ってきた、仕事の進め方や物事の考え方が、とても素直で合理的であることに感動したものですが、徳大寺さんの評論も同じにおいがします。
最近は自動車評論も私らと同じかもっと若い人が書いていて、あたかもファッション雑誌の記事のような、おしゃれでペダンティックな文章が見られます。こうした自動車論も徳大寺さんやその師匠筋の小林彰太郎さんなんかが、NAVI誌上などで展開してきたものですが、さすがにこうした先人の皆さんのほうが根っこが硬派ですから鼻に付かず、作品としてバランスがよいように思います。
これからも、マイペースで長く評論活動を続けて欲しいものですね。