言葉力。

今、駅の売店で売っている「ナンバー」のテーマは「言葉力。〜2009年の監督論〜」です。

それだけで想像がつくかもしれませんが、フィーチャーされているのはオシムさんと野村克也監督。それと各種競技の有名監督による金言集なんかもあります。最近、「ナンバー」は買ってなかったのですが、これは買うでしょう!


しかも今号以降、隔号連載ですが「オシム・レッスン」というオシムさんのインタビューが継続して掲載されるそうです。いやあ、毎回買っちゃいそうだな。私も、全国に結構たくさんいると思われる「オシムの言葉」をもっと聴きたい一人だからです。


日本のスポーツ界には、優れた実技と一家言は持っているのにそれを一般人に分かる言葉で語れる人がとても少ない。
オシムさんの話は、サッカーの話であるにもかかわらず、私たちの「人生」とか「仕事」のすぐ側に寄り添っています。平易とは違うかもしれませんが、サッカーの素人だからといって分からない言葉ではありません。彼の元々持っていた知性と波瀾に満ちた人生から紡がれる言葉は、全ての日本人にとって教育的価値があると思います。


一方、野村監督は数学教授ではないけれど、高卒叩き上げ人生の中で言葉の重要性を感じ、自分の表現を磨いてきた人。その年代では珍しく一般人に通じる言葉を持つ日本のスポーツマンです。久しぶりに読むところがたくさんありました。


そしてこの「言葉力。」というテーマがこの時期に選ばれたことは、おそらく今の日本の政治家に対する皮肉が込められているのでしょう。


経済危機の震源地であるアメリカにはオバマ大統領がいるのに、それよりはかなりマシな状況にあるはずの日本に、国民に希望を与える言葉を持った政治家がいないという不幸。
それは漢字が読めない首相だけでなく、追求する野党第一党も同じこと。国民のリテラシーをあまりに低く見積もっているとしか思えない、「やるやる詐欺」みたいなくだらないキャッチフレーズはいらないから、理想や哲学をちゃんと語ってみせてよ。


結局、スポーツに限らず日本人は自分の仕事や人生について、筋道立てて語れる能力に乏しい、というのが本当の問題か?