クラウドコンピューティングの一歩手前で

先日、会議で本社に行った時に、工人舍PCを使っていたら、同僚から「"Eee PC"をどう思いますか?」と訊かれました。その時とっさに出てきた答えが「高速インターネット環境があれば良いんじゃない?」でした。とっさにしては我ながら良い答えだと思いました。
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2GBのメモリを積んでもなお、のそのそと動くVistaを見ていると、もう民生用パソコンのOSとしては過剰なのではないかと思います。この工人舍PCですら、CPUにしてもメインメモリにしても、ストレージの広さも、私が最初に買ったPCの100倍くらいの性能になっているのに、パソコンが100倍快適になったかというと、せいぜい3倍か5倍くらいしか快適になってない。しかも驚くべきことに、パソコンになにかの処理を命令して結果を得られるまでの体感速度は、この10年間まったく変わっていません!
その一方で常時高速通信さえ出来れば、PCでやりたいことを指定して、あとはネットの向こうのコンピューターが計算して結果を返してくれる、という時代がほぼ実現されています。


具体的に言うと、例えばGoogleのアカウントをもっていれば、GoogleドキュメントでExcel、Word、PowerPointの代用ができますから、個人で高いお金を出してMicrosoft Officeの入ったPCを買う必要がありません。
Eee PCを安く買い、無線LANカードやイーモバイルの通信カードなどで武装(家庭内の通信環境なども整えてね)すれば、プライベートでは実用上ほとんど問題がないんじゃないでしょうか?OSがWindowsである必要さえありません。良いWebブラウザがストレス無く動き、一定の画面解像度があれば良いのです。PCが非力でも、どうせ計算するのはネットの向こうのサーバーですし…。


また、会社のPCの使いこなしでも現段階で時代の恩恵を受けることは可能です。
例えば昨日のS君PCの引っ越しだって、メールで対外資料のファイルを管理し、その保存と閲覧が必要と考えるなら、私ならGmailのアカウントを取り、Gmailに会社のメールサーバーを読みに行かせます。そして、自分のPCからメールを返信するときも常にBccで自分のGmailのアドレスに同報しておきます。するとOutlookOutlook Expressではできないスレッド管理ができますし、次にPCが更新される頃にはGmail内に膨大な、しかも検索が容易なデータの塊ができます。もうPCの引き継ぎ時に1個1個のメールまでコピーする必要はありません。ただ、最初から最後まで全部Gmailに依存してしまうと、飛行機の中でメールの内容を確認する、などの作業ができませんから、あくまでもメインはPCのメーラーという位置づけにしておきます(今はね)。
ま、あんまり変則的な運用をそそのかすとシステム室長氏の管理が大変になるので、今は僕の胸の中とこの日記にしまっておきますけどねw


私が、しょぼいとはいえスタンドアロンでそこそこの作業ができる工人舍PCを使っているのは、日本の通信インフラが私の要求するところまで整っていない(詳細略)ことと、出先でプロジェクターに繋いでプレゼンをしたいなどの最低限PCのパワーに依存する場面があるからです。今後、モバイル通信カードが超高速化したり、日本中がWi-Fi天国みたいになれば、オフィスの文書も動画編集も全部Googleドキュメントでやってしまい、そのままプレゼンもできちゃう世の中だってそんなに遠い未来ではない気がします。


"Eee PC"は世界の低所得者層へのPCの普及等を考えて企画されたようですが、*1PCの歴史の中で「クラウドコンピューティング」が普及するきっかけになった商品として、長く語り継がれる存在になるかもしれませんね。

*1:上で私が書いたような話が本当に一般化すれば、OfficeソフトにおけるMicrosoftの絶対性も薄れて行くでしょうね。「すみません、拡張子が4文字の変なファイルが添付されてるんですけど、特殊な形式は止めてもらえます?」なんて得意先から苦情がきたりね。