PC昔話 第3話 Sharp Mebius MN-7030?

今日は、週末の休日出勤の代休です。いいのか、決算前に?というか決算前だから辻褄合わせているのか?


さて、第3話。3台目のパソコンの話です。メビウスノート、MN-7030の話です。
一所懸命思い出しながら書いているんですが(誰に頼まれてもいないのにさ)、細かい型番がどうも自信がありませんが、"PC Watch"のバックナンバーを検索してなんとか探し当ててみました。多分、これです。

Googleのイメージ検索でも写真は探せませんでした。

とにかく全部入り。高性能

"Presario433"、"Contura Aero"と型遅れの非力PCを使っていましたが、世はいよいよPCバブルになってきまして、新製品ラッシュ。Windows95をストレスなく動かすパソコンがやっぱり欲しくなってきました。
じゃ、購入するとしたらどんな機種にするか。結局COMPAQ兄弟に無いものを全て求める形でこのような方針になりました。

  1. 公私ともに使用するため、大きさはともかくノートパソコンであること
  2. TFT液晶を搭載し、グラフィック面でストレスのないもの
  3. CD-ROMドライブ搭載

つまり、全部入り高級ノートパソコンというわけです。


こうなってくると、当時は40万円くらいの出費を覚悟しなければなりませんでした。「よっしゃ2年くらいのローンを組みましょう」と覚悟してシャープのメビウスノートを指名買い、と決めました。
CPUはPentium 133MHz、TFT液晶の800×600画面。メモリは最大48MB搭載できました。

画面きれい。でかくて重いけど

記憶は定かじゃないんですが、確か友人につきあってもらって静岡から秋葉原まで出かけ、T-ZONEでローンを組んで買ってきました。メモリも最大の48MBにしてもらい、2年ローンで買って帰りました。もう、ハードと格闘するのは卒業です(実はその数年後、似たようなことを繰り返すのですが)。


当時からシャープは液晶命の会社でしたから、TFTの液晶は"Contura Aero"と比較するのも申し訳ないほど綺麗です。ドット欠けは2つくらいありましたけど。CD-ROMも付いてるし、仕事用の"Office"もようやく本来の画面デザインが生かせます。実はほぼ同じ大きさで液晶が大きい7250、7230という機種もあったのですが、その差額が5万〜10万円もするのでは、さすがに選べませんでした。
大きさも立派なもので、専有面積としてはA4ファイルサイズですが、事典のように厚く、足の上に落とせば指の2本も折れそうな質量でした。

意外に癖があること&メーリングリスト

最初からWindows95用にデザインされたPCは初めてだったこともありますが、COMPAQと違って独自仕様の部分もあったのでしょう、メビウスには多少の違和感がありました。例えばイラストにも描いたとおり、パラレルポート、シリアルポートが逆さに付いているところ。別にそのことによって不都合があるわけではないのですが、美人の二の腕に付いた種痘の跡のような(分かりにくいよ!)違和感。設計の都合上マザーボードを天地逆さにせざるを得なかったのでしょう。


また、細かいことはすっかり忘れてしまいましたが、コントロールパネルで画面か何かの設定を変更すると突然落ちる、とか不思議な挙動がいくつかあったので、私は情報収集のためにメビウスメーリングリストに加入しました。


メーリングリストというものは、いろんなテーマで今もありますね。
登録しておくとメンバーが発した質問やその回答がメンバー全員に配信され、各々がそれを共有しながら自分の質問を発信したり、自分が分かることは答えてあげたりする、メールを使ったフォーラムのようなものです。


当時はまだまだ人によって通信環境が違います。プライベートではメビウスを使っていても、その人が普段いる環境はWindowsの環境ではなかったり低速の回線を使っている場合も多いのです。ですからそのメーリングリストに投稿する際には、項目は多くありませんが厳密なルールがありました。曰く、

  1. HTML形式のメール禁止
    • 読めない人がいる。サイズが大きく、ダウンロードに時間がかかるしメールボックスを圧迫する
  2. 題名に日本語(2バイト文字)禁止
    • 読めない人がいる。またはメールサーバーが対応していない場合、最悪サーバーがダウンする。
  3. 題名、本文とも半角カナ禁止
    • サーバーやメーラーが対応していない環境の人がいる。
  4. 同じく機種依存文字はもってのほか
    • 世の中Windows PCだけじゃない。

などです。


OutloolやOutlook Expressは無邪気にデフォルトでHTML形式のメールを作成するようになっていますが(というか、マイクロソフトの場合は、悔しかったらウチの製品を使えよ、という確信犯なんだと思いますが)、そのままの設定でここにメールを送ると厳しい指導を受けたものです(私はやってませんが、何度か見ました)。

"Power PIMM"は面白かったんだけど

シャープの製品だけに、メビウスにはザウルスと連携できるPIMソフトであるところの"Power PIMM"というソフトが入っていました。予定表・アドレス帳・TODOのほか、参照したいファイルのショートカットや、よく使うアプリケーションなどを1つの画面で管理でき、主要なPIM情報はザウルスと同期ができるのです。考え方としてはOutlookの履歴画面が常に参照できるようでもあり、さらに時代を下って"CLIE TH55"の売り物だったクリエ・オーガナイザーとも似ている(その完成度もね!)物です。


時間が前後しますが、私も一時期パワーザウルス・ユーザーだったので、このソフトの考え方に惚れて使っていました。ところがあまりに多機能であるためか動作が重く、データ量や参照ファイルのショートカットが多くなりすぎるとフリーズしたり、強制終了になったりするので、結局精神的安定が得られないので止めました。また、パワーザウルス時代はまだPCとの同期も時間がかかるのも致命的で、Palmのようにデータを更新しては"HotSync"で「ぴっ」という物ではなかったのです。

出張には重すぎる

さて、そんな感じで2年のローンを背負い、カスタマイズなど夢にも思わないままメビウスとの生活が続く中、私は転勤で仙台に行くことになりました。そして入社当時は考えてもいなかった*1「飛行機に乗って北海道出張」などという仕事もするようになりました。
私は、それまでの本社や静岡営業所の勤務では、ライトバンで日帰りできる範囲でしか営業をしたことがなかったので、パソコンを持って公共交通機関で遠方に出かけるという経験がなかったのです。


初めの数回、メビウスを背負って北海道出張に行ってみましたが、重い上にでかい、分厚い。もうその頃、パソコンは私の「外部脳*2」だったので出張には持って行きたいが、あまりにも運搬に不便でした。


そうです。良い言い訳ができました。


ちょうどローンの支払いも終わり、Windowsも新しく98になっていました。"Contura Aero"の反動で「美麗画面でオールインワン」のメビウスを選んだのとは逆に、「気楽に出張に連れて行ける小型ノート」を仙台の街で物色し始めたのでした。(第4話に続く)

*1:入社当時、弊社では東北・北海道・九州は販売エリア外でした

*2:本当の起源は知りませんが、私は森英二氏の本でこの言葉を覚えました