あしたのジョーの方程式

札幌からの帰り、旅のお供に本を買いました。
そのうちの一冊がこちら。

あしたのジョーの方程式

あしたのジョーの方程式

あの島本和彦があの「あしたのジョー」を語る一冊。
あしたのジョー」は数あるマンガの中でも語りがいのある作品であるらしく、BSマンガ夜話はもちろん、夏目房之介がかなりの労力を割いて細かい論評をしています。
「神話的と云って良いほどの少年漫画ストーリーの王道」、「原作者の力だけでもマンガ家の力だけでもなく、両者の葛藤から生まれた再現不能の名作」等々、いろいろまとめ方が考えられます。


そんな「あしたのジョー」を、島本和彦が対談形式とはいえ分析するというんですから、興味津々です。
って、出たばかりの本のように紹介していますが、発行は去年の9月なんですが…。


内容ですが、意外にも夏目房之介風の描く側からみた手法的分析よりも、非常に読者的な読み込みをしておりました。
もちろん手法的な話(画面の構図の話とか)の部分もありますが、それよりもジョーの「あした」とは何だったのか?なぜ「あしたの」ジョーなのかというテーマ部分に入り込んだ話により重点が置かれています。それは現役プロの漫画家が「あしたのジョー」を語る、理論家島本が語る、という額面に期待したものとは微妙にズレるのですが、よく読んでみるとここで島本が追究する「テーマ」とは、ジョーが真っ白な灰になるまで戦った理由であって、それは日本で一番「熱血」に拘り、「熱血」を分析し続けているマンガ家である、島本和彦らしい読み方なんだなあと納得させられます。