週刊朝日が85周年なんだそうで

週刊朝日が85周年なんだそうで、2週連続で記念号になっていましたね。
http://opendoors.asahi.com/data/image/00007909_c_syukan20070223.jpg
私は大学生の頃から断続的に読んでいたので、そのうち25年くらいのつきあいか…。
はっきり言って最近は惰性で買ってるだけなんですけど、例の「あるある」の問題は「ウチが追究したから」ということなんですって。


新聞社系としては頑張ってる方なのかもしれないけど、週刊朝日はヌルい印象がありますね。連載陣でまだ一部面白い人が残っているので読むところはありますが、林真理子の対談は止めて欲しい。前は「ここまできいていいのかな」というタイトルだったと思ったが林のつっこみがあまりに緩いのでいつのまにか「ゲストコレクション」というなんの方向性もない単なるパブリシティの場として存続しています。


もう一つ止めて欲しいのが、年始やら連休やらイベント絡みの時期になると4〜5ページで駄文を書き散らす今井舞のテレビ話です。前回文春の記事について書いた後も、紅白の話題とかで2回くらい見かけたんですが、いちいち目くじら立てちゃいかん、と思って黙ってました。でも、すみませんもう一回書きます。


今週号は、毒出し批評「ドラマ冬将軍」と題して新春スタートの連続ドラマの悪口を書くというテーマでした。テーマ自体は編集者が出すんでしょうから、このことについて文句を行っても仕方ない(でも、そんな仕事を受けるなよ、という思いはある)。どうせ「華麗なる一族」の鯉の話とかだろうと思って読みました(まあ結局そうだったんですが)。


まずちょっと長くなりますが引用します。

(前略)「華麗なる一族」。
開局55周年を記念して作られたこの大作、よく考えると55ってなんか中途半端だが(A)、とにかく豪華なキャスティングが話題をさらった。(中略・豪華セットの話など・筆者註)
キムタクの父親で、一族の長・万俵大介役だが、それこそCMでキムタクとコンビを組んでいた渡哲也にやって欲しかった(B)。(中略)だけど北大路欣也じゃ、息子を愛せない父親の秘めた苦悶が今ひとつ伝わってこない。どう見ても単なる悪代官なのである(C)
(中略)キムタクの髪型はヘン。出演者皆がそれなりに工夫して60年代風にしている中、一人茶髪で'07年最新スタイルを死守。(中略)あまりに浮いてて「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマイケル・J・フォックスみたいだった。あ、それで北大路欣也か。なるほどドク役がしっかりくる(D)

大意が変わらない程度につまませてもらいました。フォントの色と(A)(B)(C)(D)は私が付けました。
ちなみに今まで今井舞の文章には3〜4回触れているので、好きな人は左の検索窓に「今井舞」と入れて、今までの私の言及を確認しながら読んでいただくと良いと思います。


さて、いきましょう。
まず(A)の箇所。あなたが書いてるのも"85"周年記念号ですけどね。かといってそれをギャグとしてつなげるところまでは考えてないんですね。と、これは揚げ足取りです。ゴメンよ。


次の(B)。渡哲也で華麗な一族の当主になりますか?昔、原田芳雄がやった海原雄山みたいに品がなくなること間違いなしでとてもお勧めできませんが。今井さん、どうもこの、Aの代わりに出すBが適切じゃないという欠点が克服されていません。


さらに(C)。これは今井さんがどういうスタンスでこのテの文章を書いているかによって対応が変わります。
純粋に「今の北大路欣也は悪代官にしか見えない」というナンシー関流の、テレビ画面を凝視した上で自分の目だけを信じるという覚悟のもとで書いているのか、北大路欣也=時代劇のベテラン俳優=悪代官という短絡なのかが読んでいて分からないんです。他の人については過去に出ていたCMやそれ以前の仕事を知った上で書いているようなので、自分の目だけの判断で書く、というほどに徹底した流儀ではないのだと思われます。
すると、北大路欣也が悪代官に見えるというのは何処から来るのか?
北大路欣也は記号としては時代劇の第一級の主役クラスで、その役も宮本武蔵旗本退屈男大石内蔵助など、ど真ん中の役がほとんどです。ナンシー関を読んでいる人は「世直しどん兵衛」だったことも覚えていますね。
まあ、たまには「水戸黄門」あたりで悪代官もやったのかもしれませんが、それは美空ひばりのことを「ブルーコメッツの、エキストラの女性ボーカリストでしょ?」と認識するようなものだと思うんですが。どこかで見立て違いがあるのではないでしょうか?


で、最後の(D)です。木村拓哉マイケル・J・フォックス(この喩えも大概おかしいけど)だとなんで北大路欣也がドクで、しかもしっくりくるの?これ伏線もないので全く分かりません。白衣とか着てましたっけ、北大路欣也


というわけで神は細部に宿り、今井さんは常に勢いで書き飛ばしている以上のものを感じられないのが相変わらずです。だいたい4ページで何十人の評を書くということは真面目にやったらすごい仕事です。ナンシー関がワンテーマごとに1ページでまとめていた一品料理を、今井さんは食材を多くして大鍋で煮て出して来るので豪華に見えるんですが、食材の下ごしらえが粗くて客が灰汁を救わないと食べられない料理になっています。知らないで食べるとやたら小骨が挿さったり、中が赤い豚肉などに当たってしまいますから、客もそれなりに注意が必要だ、と云いたいわけです。


こんなこと私がネットの片隅で書かずに、小林信彦氏にでも叩きのめしてもらうのが一番良いんですけど。週刊文春で、今井舞に連載を持たせて、次の週にかならず「本音を申せば」でダメ出ししてもらうという企画をやってもらえませんか?私はもう疲れてしまってこの作業を続けられないと思います。