アッコちゃんの時代

久しぶりに新刊ハードカバーで小説を読みました。
林真理子「アッコちゃんの時代」です。

アッコちゃんの時代

アッコちゃんの時代

先週のニッポン放送テリー伊藤の番組に出演して、宣伝していたのが最後のきっかけになりました。私は林真理子というと「アグネスをいじめた悪い奴=女なのに女性の権利を侵害する変な人」としか思ってなかったので、本を買ったのは初めてです。
ただ、この本については発売前の雑誌連載(何に連載されたのかは知らない)が始まった、と聞いてから実は興味津々でした。
というのも、林真理子がバブル期に魔性の女と呼ばれたアッコなる女性を主人公に小説を書く、という話を聞いたとき、これはナンシー関が昔コラムに書いていたことだ、とすぐ分かったからです。
この件についてナンシー関が書いた文章を必死に探しあてたので、引用します。

聞いて極楽 (朝日文庫)

聞いて極楽 (朝日文庫)

1994年9月発売週刊朝日の連載コラム「小耳にはさもう」から
 数年前から私の周辺で「A子(もしくはアッ子)という女性(現在二十六歳ぐらい)のことが話題になっている。この女性は十代にして最上恒産社長の愛人の座をゲット。当時、正式の愛人だった銀座のクラブママの娘とA子は友達であったという。
 すごい話だ。ママは悩み、占師などに相談したらしいが、全員口を揃えて「A子というのは魔性の女だ。勝ち目はない」と言い切ったらしい。その後もA子は、風吹ジュンの夫(川添象郎氏)を奪い、現在その川添氏を芸能界の魔性の女・荻野目慶子と取り合っているという。(中略)友人の放送作家町山広美は「ライフワークとしてA子の人生を見守りたい」とまで言っている。
引用元は朝日文庫版「聞いて極楽」です。

さては荻野目慶子とのバトルとかあるのかと思ってその興味だけで買ったんですが、195ページに食事をしたことのある女優としか出てこなかったので、ちょっとがっかり。
年代的には私はまさに主人公のアッコのちょっと上くらいだと思う(ナンシー関とはきっちり同学年です)が、ぼーっとした大学生だったので、世の中の流れとか、当時の金持ち連中の遊びっぷりなんて知りもしませんでした。読んでると、「最高のおんなぁとーベッドでドンペリニヨっほーん」って奴ですね。歌の中だけのことだと思ってましたが。
小説としては、よく調べて頑張って書いてあるということだけよく分かりました。芸術的価値より、風俗資料的な価値あり。