気がつけば あなた

昨日、休日出勤で埼玉で仕事をしていました。帰りは首都高も渋滞すると思い、17号線から山手通りに入ってダラダラと運転しながら帰ってきました(経費削減にもなるし)。

運転しながらニッポン放送を聴いていたところ、「笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ」という番組をやっており、松浦亜弥をゲストに1時間以上喋っていました。笑福亭鶴瓶フォークソングの知識が凄いとか聴いたことがありましたが、なかなか鋭いところを突きながらもあややをもり立てていました。
で、新曲「気がつけば あなた」の制作に当たっての内輪話も出てきたのですが、なんでもCM用の尺でしか作っていなかったものを、引き延ばしてシングル曲に仕上げたが、その出来が「さすがつんく♂さん」という結論になっておりました。

気がつけば あなた (DVD付)

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まあ、さすがなのは別に異論があるわけではありません。でもね…。

私は世代的に、それこそ天地真理から(いや、園まりからでも良いんですが)始まって、30年以上いろんなアイドル歌手をテレビで見てきましたが、松浦亜弥の歌・動きの完成度はアイドル史上最高と云って良いと思います。これから先、天下を取った女性アイドルは、代々「松浦亜弥」を襲名することに決めても良いと思うくらいです(で、年取ったマニアが客席で「先代の"すらーっしゅ"は美しかったですなあ」とか言い合うの)。
でも、悲しいかな国民的ヒット曲に恵まれていません。
ハロプロ関連という枠の中にいることも一つの大きな要因(浮動票が入りにくい)とも思いますが、おそらく彼女のアイドル歌手としての完成度の高さは、逆にアイドルとしては過剰であるのかも知れません。
完璧なアイドルであるがあまりにアイドルとしての引きが弱くなっているのは何か矛盾していますが…。

そんなわけで、彼女はデビュー以来いろんな曲を歌っているのですが、どれも悪くはないが、ホームランは打ててないという、難しい存在です。つんく♂ももっと売れるはずなのに、何を歌わせたら良いのか多分分かっていないんでしょうね(昔、高田みづえがそんな感じで、カバーばっかり歌っていた時期がありますが、少し似ています)。

今回は前段で書いたとおり、ちょっと変わった事情の曲ですが、それだけにつんく♂は曲作りに当たり、相当に考えたと思います。
CMソングを後から1つの商品として作り替えるというと、古くは「今の君はピカピカに光って」から朋ちゃんの「あーきらめまっしょおー」とかを思い出すのですが、「さすがつんく♂」で、息切れを感じさせずに曲としてはよくまとまっています。
でも、私は昨日、車で聴いていて気が付きました、この曲の正体は、ZARDの「君がいない」です。最初CM部分がいきなりのサビとして出てきて、そのあと短い間奏を挟んで「ひらうた」部分に入ります。最初の4小節、しごくオーソドックスなメロディがあり、その後コード進行の調性が代わってマイナーな感じがグネグネと入ってきます。最初、どこかで聴いたことがあると思いながら追いきれなかったので、ラジオを消して、記憶をたどってみると「なーぜだか、きみにであーいーフォリンラブ」が出てきました。これですよ。
CM用に作った曲が、評判が良くてシングルになる、という千載一遇のチャンスに、つんく♂がセールスを意識して考えた結果がビーイングの引用です。もちろん盗作とかそういう意味ではなく、ポピュラー音楽の作曲というのは、数あるパターンの中から、今何を出してくるか、というセンスの問題であり、この機会にZARDを引っ張ってきたつんく♂の考えに「ふーん」と思った、ということでした。

ところで、先日、私が良い歳して普段から「松浦亜弥はすごい芸人だ」とか云っていたら、いつもの同僚が衛星放送でやった松浦亜弥のライブのビデオを送ってくれました。さすがに全編頭っから見る気力はわかなかったので、斜め見しましたが、ライブ金かかってねー!伴奏はカラオケだし、セットはしょぼいし。
感性を磨くべき若者達に、あんな安いコンサートを見せちゃダメですよ。せめてバンドは付けようぜ。