聴いておきたいちょっと古い音楽 その3

趣味の世界がどんどん泥沼化していますが、まぁ誰に迷惑かけるわけでもないので行けるところまで行きましょう。今日は遊佐未森の話です。

私は、アルバム「ハルモニオデオン」から聴くようになりました。
当時、私は「月刊 キーボード・マガジン」をよく購読しておりました。楽器はフォークギターしかできなかったのですが、「その1」ですっかり一人オフコースになっていた私は、多重録音で曲を作るに当たって、キーボード(ようやく安くなってきたシンセサイザー)をいじるようになっていたからです。
さて、ある時その「月刊 キーボード・マガジン」で遊佐未森のニュー・アルバム「ハルモニオデオン」の特集を組み、紹介していました。この時点で私は、遊佐未森の音楽を(それと意識して)聴いたことはありませんでした。
で、何せ理屈っぽい雑誌なので、特集記事となると、プロデュースの外間隆史がどーのこーのとか、いろんな情報が書いてあるんですが、その中の収録曲紹介のところで、「作曲:太田裕美」という曲があるのを発見!
「なに?何故?今、太田裕美?」

私の年代には珍しくありませんが、中学時代に太田裕美にはまってしまい、すっかり恋に不器用になってしまった男子がクラスの中に5人くらいはいたもので、*1私もそんな一人でしたから、当時の、結婚してから開店休業中だった太田裕美を作曲家として起用するアーティストとは何者だ?と聴かずにおれなくなりました。

さて、買ってきました。
童話の世界の男の子みたいなコスプレのジャケット写真に、何やら怪しげな気配を感じつつ、CDをセットして聴き始めました。

ハルモニオデオン

ハルモニオデオン

いきなり本人の声を多重録音したM1;"Forest Notes"のコーラスからアルバムは始まるのですが、声を聴いてなるほど太田裕美を起用した意味が分かる、ミルキーヴォイスです。
この頃、洋楽ではエンヤが第1次のブームを起こしていて、ちょっとそれ風なにおいもさせていますが、エンヤと違うのは、リズム隊が頑張っていて、編成はアコースティックでありながらも、かなりロックを感じさせるアレンジです(特にM2)。ヴォーカルも太田裕美よりはかなり力強く、豪華なバックに負けることなく言葉を伝えてきます。*2
この後2〜3年、遊佐未森はかなりメジャーに近い位置で活動を続けましたが、「誰でも知ってる」レベルにまでは到達しないまま、地味な存在になってしまいました。目の覚めるようなシングルのヒット曲がなかったので、一般の印象が薄いんですね。レコード会社を移籍し、出す曲もリズムの目立たない地味なものが多くなり、最近はどんな作品を発表しているのか、私も追いかけなくなってしまいました。

*1:本当は太田裕美が発した言葉ではなくて、松本隆が作った言葉に影響されたんですが

*2:ほぼ同時期に"Forest Notes"という音楽ビデオがリリースされており、レンタルして見ましたが、バックコーラスに河合夕子がいて、なんか人生について考えさせられたりしました