見ざる聞かざる「海猿」

昨日、社員旅行の観光バス内で2時間くらいの移動にあわせ、ガイドさんが「海猿(第1作の方)」のビデオを見せてくれました。


私、映画は怪獣特撮ものくらいしか見ませんので、普通に人間が主人公のやつで邦画という条件だと、この前見たのはなんだったっけ?という有様です。おそらく映画館で見たのは「野蛮人のように」が最後じゃないでしょうか(薬師丸ひろ子がアイドルだった*1頃。もう20年前だぞ!)。


DVDを含めても、制作年代順で考えるといちばん新しいのは「ケイゾク」あたりになるのではなかろうか?とにかくこの日記も3年目ですが、"Movie"カテゴリで言及したのは「ダ・ヴィンチ・コード」「グエムル〜漢江の怪物〜」「06年ガメラ」「ゴジラ・ファイナルウォーズ」「サンダーバード」の5本だけ。しかも「グエムル-」と「06ガメラ」は見てないわけですから、こと映画に関してはコメントする権利もないというわけです。あ、今思い出しました。「陰陽師」は映画館で見てます。「陰陽師2」もDVDで見ました。あ、でもこれも「特撮もの」でしたね。


そんなわけで、あれだけ宣伝されていた「海猿」も当然、初めて見たわけです。TVドラマも見てません。


で、見るとはなしに見始めて同僚に「どういう話?」と訊いてみると「まあ、トップガンみたいなものです」だと。その一言が「補助線」になってすごく良く分かりました。本当に丁寧に「トップガン」をなぞっています。「トップガン」は昔先輩や友人の家で何度かビデオを見せてもらっていたので、良く覚えているのです。
キャリアアップを目指して厳しい訓練に臨む若者たち、友情、対立、恋、友の死、主人公の低迷と再起、訓練中に遭遇する事件とそこでの主人公の活躍…。ちゃんとアイスマンも出てきます。DVDを2台並べて再生したら、同じペースで同種のエピソードが並んでいるんじゃなかろうか?ケリー・マクギリスが分裂して加藤あいと杏子姐さんになって出てくるのは新機軸ですが。


で、ですね、私が問題視するのはトップガンに似てるということではなくて(ある意味黄金パターンだからパクリとか言ってもしかたないんでしょ?限度があるけどさ…)、全編通じての最大の事件にあたって、その解決の仕方があまりにぬるい、ということです。


その事件は、作品の冒頭から教官によって数度に渡り主人公に問いかけられていた状況(ある危機的状況で二人のうち一人しか助からない時「お前はどうするか」)であり、2度目に問われたシーンで主人公は「二人とも助かる方法を考えます!」と大見栄を切っています。にも関わらず、結局主人公はまさしくその状況に陥ると、ただやせ我慢をしていただけで、アクティブに行動して状況を打開することができません。
また、その事件から派生した担当教官の立場上の危機も含めて、それらすべてが友情と人情で解決してチャンチャン、というのは脚本としていかがなものか?ていうか、レベルが「キン肉マン」と同じです。トム・クルーズだったらあそこで相当無理なこじつけ(例えば残量わずかなボンベを破壊してエアーで障害物を吹き飛ばす、とか)をしてでも自力で危機を脱出すると思うのです(また、危機の中にもそれが可能な伏線を張っておくと思う)。そこまで考えてから映画って作るんじゃないの?と思うんですが。


えっ、日本人は個人プレイではなく組織で戦う国民性だからこれで良いんだって?
そんなの今年のワールドカップでいっぱい見て、しかも負けてばかりだったんだから、フィクションくらい日本男児の個人の力を信じさせてくれよ!と思ったんですよーだ。

*1:最近はただの色の黒い小柄なオバサンになっちゃいました。おかしいなあ…