頼りになるおばちゃんの生活
大阪出張の前日に、本屋でちくま文庫の本を買った時に、すぐ隣に並んでいたのでついでに買ってしまったのが、「るきさん」です。
- 作者: 高野文子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1996/12/01
- メディア: 文庫
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既視感のある昔風のスタイルの中に、ちゃんと連載当時の風俗が描かれているのもそうだが、とにかく普通の女性の姿が過不足無く表現されているのがすごいと思います。私、最近仕事の関係で「普通の主婦」とお話しする機会が多いのですが、大人の女の人というのはこういう行動と物言いをするよなあ、とひたすら感心します。
と、同時に今はいないかもしれませんが、私が子供の頃に周りにいたしっかりした大人の女性は「るきさん」のように生きていたように思います。例えば今回のマンション購入の時に世話になった伯母なども、若い頃に東京に出てきて仕事をして、家にお金を入れない配偶者を看取ってお墓を建ててやり、自分はとっくに支払いを終えたマンションで散歩と旅行を趣味に元気に生きています(子どもはいない)。彼女の若い頃は京王線や小田急の方はかなり遠かったので、品川区内の私鉄沿線の小さいアパートで暮らしながら、いざとなるとちゃんとお金を持っていて、親戚や知人の危機を救っていたりしたものでした。
その頃の伯母の様子に「るきさん」は良く似ています。
けらえいこの「あたしンち」が現代を舞台にしつつ、実は作者の両親の話を描いているように、「るきさん」も実は作者が子どもの頃に見た大人の女性を描いているように思います。が、「るきさん」の90年頃の描写はリアルで主人公を除けば風俗資料的価値も高いように思います(逆にその時々の風俗に左右されない「あたしンち」はエバー・グリーンであるとも言えますね)。